
省エネで性能のいい住宅として「長期優良住宅」と言うものをご存じでしょうか。長期優良住宅の基準を満たした住宅を建てることで、税金面などで多くのメリットがあります。この記事では、長期優良住宅の認定基準やメリットについて解説します。
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長期優良住宅ってなに?
長期優良住宅とは、長く快適に暮らせる性能の家を指します。具体的には「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアしている住宅のことです。長期優良住宅に認定されるためには、居住空間の広さや省エネ性能、耐震性、劣化対策が行われている必要があります。
また、事前に定期的な点検や修繕・交換の計画を立ておく必要もあり、長く同じ家に快適に暮らすための住宅だと言えるでしょう。さらに、家の性能だけではなく、家が建っている場所の環境も長期優良住宅の認定基準になります。
長期優良住宅の認定基準は?
長期優良住宅の認定基準は、耐震性・省エネルギー性・居住環境・維持保全計画・維持管理、更新の容易性・劣化対策・住戸面積・バリアフリー性の8項目がチェックされます。さらに、共同住宅の場合はライフスタイルの変化に応じて間取りが変更できるなどの可変性もチェック項目のひとつです。
上記の基準をクリアし、認定を受けることで長期優良住宅として初めて認められます。長期優良住宅としての基準を全てクリアしていても、認定を受けなければ長期優良住宅として認められないので注意しましょう。
長期優良住宅のメリットとデメリット
厳しい基準で性能が定められている長期優良住宅には、メリットが多いです。とくに、税金面でのメリットが大きいので、事前にチェックしておきましょう。ただし、長期優良住宅にもデメリットがあります。
これから長期優良住宅を建てる場合は、長期優良住宅のメリットとデメリットを事前に確認しておきましょう。長期優良住宅を建てるメリットが大きい場合には、認定を受けることがおすすめです。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅は、税制面で優遇されるというメリットがあります。まず、ひとつ目は住宅ローン控除です。住宅ローン控除とは、ローンを組んで家を建てたときにローン残高の0.7%が住民税と所得税から控除される制度です。
長期優良住宅の場合、通常の住宅に比べて長い13年間の控除を受けることができます。住宅ローン控除では、年末調整や確定申告後に控除されたお金が振り込まれます。税制面でメリットを得たい場合には、長期優良住宅がおすすめだと言えるでしょう。
さらに、長期優良住宅は固定資産税や不動産取得税なども優遇されています。税制面でメリットがある住宅として、省エネ住宅が挙げられます。しかし、独自の基準を持つ住宅の中では、長期優良住宅が一番税制面でメリットが大きいです。
長期優良住宅のデメリット
税制面などでメリットがある長期優良住宅ですが、申請に手間がかかったり、基準をクリアするための性能を上げるコストもかかります。長期優良住宅を建てるときは、事前に申請の手間や必要になるコストを確認しておきましょう。
長期優良住宅の基準をクリアするためには、住宅の省エネ性能や耐震性能をより優れたものにする必要があります。住宅メーカーによって金額は異なりますが、通常の住宅を建てるときよりもコストがかかることは間違いありません。
また、長期優良住宅は定期的に点検や修繕・交換が必要になります。長期優良住宅を建てたあとの点検や修繕・交換にも費用が必要になる点には注意が必要です。点検や修繕・交換をしたときは、記録に残さなければいけません。定期的に適切な点検や修繕・交換を行なっていない場合、認定が取り消される可能性があるので注意が必要です。
さらに、長期優良住宅として認定されるためには、着工前に申請を行う必要があります。長期優良住宅の申請は、施主か建築会社などが行います。長期優良住宅の申請には、必要書類を集めたり、必要事項を記入したりなどの手間がかかる点がデメリットだと言えるでしょう。
長期優良住宅は低金利でローンが組める?
長期優良住宅は、通常の住宅よりもフラット35で低金利のローンを組むことができます。フラット35とは、固定金利で組むことができる住宅ローンです。固定金利であるフラット35を利用したい場合には、メリットが大きいと言えるでしょう。
ただし、長期優良住宅でフラット35を利用しても金利が安くなるのは最初の5年間だけです。5年を経過したら、通常の金利に戻ってしまう点には注意しましょう。
また、長期優良住宅であれば、フラット50を利用できます。フラット50とは、最長で50年の住宅ローンが組めるものです。フラット35と同様に固定金利で、金利の変動がありません。若いうちに長期優良住宅を建てたい場合は、ぜひ利用を検討してみてください。
ちなみに、長期優良住宅は地震保険も安くなる可能性があります。長期優良住宅は、通常の住宅に比べて耐震性が高いことが特徴です。加入する火災保険や地震保険によっては、長期優良住宅の方が保険料が優遇される可能性があるので、事前にチェックしてみましょう。
長期優良住宅は維持管理が大変って本当?
長期優良住宅は、家を建てるときに定期的な点検や修繕・交換の計画を立てます。事前に立てた計画を元に、住んだ後も点検や修繕・交換が必要です。計画に合わせて点検や修繕・交換を行わなければいけない点は、確かに長期優良住宅の維持管理が大変になる原因となるかもしれません。
ただし、どんな家に住んでいたとしても、定期的な点検や修繕・交換は必要になります。長期優良住宅の場合は、事前に内容が決められていると言うだけの話です。どんな家であっても、定期的なメンテナンスは必要になるので、長期優良住宅だから特別手間がかかると言うわけではないでしょう。
しかし、ひとつ注意が必要なのは長期優良住宅の場合には、計画通りに点検や修繕・交換を行わなければ、認定が取り消されてしまう可能性がある点です。点検や修繕・交換を行った時は、必ず記録を残しておく必要があるので注意しましょう。
長期優良住宅の認定を受けていない家は問題ない?
耐震性や省エネ性能が高い長期優良住宅は、通常の住宅に比べてトータル的に性能が高いです。しかし、通常の住宅が長期優良住宅に比べて耐震性能が低いからと言って、危険だというわけではありません。
近年は、以前に比べて住宅に関する法律が厳しくなっています。長期優良住宅ではない家であっても、耐震性能や省エネ性能が高い住宅はたくさんあります。そもそも、法律に違反していなければ、どの住宅も安全で快適な家であることに間違いはありません。
長期優良住宅を建てるときには、コストがかかります。例えば、耐震性能よりも省エネ性能を優先したい場合や、バリアフリー機能を充実させたいなど、家を建てるときには様々な要望があるでしょう。長期優良住宅に認定されなくても、家族のライフスタイルにあった住宅を建てることで、より快適に長く暮らせる住宅を建てることは十分可能です。
既存住宅や中古住宅でも長期優良住宅の認定を受けられる?
既存住宅や中古住宅でも、長期優良住宅の認定を受けることが可能です。既存住宅や中古住宅で長期優良住宅の認定を受けたい場合には、新築の家と同様に耐震性や省エネ性能の基準をクリアする必要があります。
ただし、既存住宅や中古住宅で長期優良住宅の認定を受けるためには、リフォームが必要になる可能性があります。既に、長期優良住宅の基準をクリアしている住宅であれば問題ありませんが、基準をクリアしていない部分がある場合にはリフォームを検討しましょう。
また、既存住宅や中古住宅で長期優良住宅の認定を受ける場合には、新築時と同様に申請を行わなければいけません。必要書類の準備や申請などに手間がかかる点には注意しましょう。
まとめ
長期優良住宅は、長く快適に暮らせる住宅を建てたい方におすすめです。住宅は、人生に何度も建てられるものではありません。できることなら、一度建てた家に長く住みたいと思っている人も多いのではないでしょうか。長期優良住宅であれば、自分だけではなく子供の世代まで快適に過ごせるような快適な家を実現できるでしょう。