生活するうえで必要になるエネルギーを抑えた住宅を、省エネ住宅と呼びます。省エネ住宅は、光熱費節約のみならず、環境保全への取り組みの一環にもなる魅力的な選択肢です。省エネ住宅には基準や補助金制度が設けられています。今回は、省エネ住宅について掘り下げて紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
省エネ住宅の取り組み・基準・種類
省エネ住宅とは、家庭でのエネルギー消費を抑える工夫がなされている住宅を指します。
省エネ住宅の取り組み
省エネ住宅は、主に以下の3つの取り組みが行われています。
まず、住宅の断熱性・気密性を高めた冷暖房効率の向上が挙げられます。
壁や屋根、床に高性能の断熱材を使用し、断熱性の高いガラス、気密性の高いドアや窓サッシを導入する方法です。外気の影響を受けにくくなり、室内の快適な温度が保たれるため、冷暖房の効率が上がり光熱費の削減が可能です。
次に、省エネ性能の高い住宅設備の設置です。エネルギー効率のよい給湯器やエアコン、省エネ性能が高いLED照明などの設備の導入により、エネルギー使用量を削減します。
最後に、太陽光発電による自家発電システムの採用です。自宅で使う電気を自分で作り出し、余った電気は国に買い取ってもらえます。
省エネ住宅の基準
省エネ住宅の基準は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律である建築物省エネ法で定められた住宅の省エネルギー基準にもとづいています。
この基準には、外壁や屋根、窓などの断熱性能に関する外皮基準と、住宅内でのエネルギー消費量に関する一次エネルギー消費量基準があり、8つの地域ごとに基準値が設定されています。
また、さらに省エネ性能を向上させる住宅トップランナー基準や、低炭素建築物に関する認定基準も存在します。
省エネ住宅の種類
省エネ住宅の種類は、実現・目標とする省エネ性能のレベルや内容によっていくつかのタイプがあります。
長期優良住宅は、省エネ性能に加え、耐震性やバリアフリー性にも配慮されており、安全で快適に長く暮らせる住宅です。認定低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えており省エネ性能に優れた住宅です。どちらも国の基準を満たし、認定を受ける必要があります。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅は、高断熱・高気密な構造で、高効率な設備により家庭のエネルギー消費を大幅に抑えます。さらに、太陽光発電や燃料電池などでエネルギーを自家発電し、年間のエネルギー消費量プラスマイナスゼロを目指しています。
LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅は、建築時や運用時、廃棄時も含めた全段階で二酸化炭素の排出を抑え、年間エネルギー消費量プラスマイナスゼロを目標とします。LCCM住宅は、省エネ住宅が目指すべき最終目標とされています。
省エネ住宅のメリット
省エネ住宅は、光熱費の節約や快適な居住環境の提供など、さまざまなメリットがあります。
光熱費を抑えられる
高断熱・高気密な構造により室内の温度を一定に保ち、冷暖房の効率が向上します。
光熱費の大幅な削減が可能です。また、省エネ性能の高い設備や太陽光発電などの導入も光熱費の抑制に貢献します。
温度差のない快適な生活が手に入る
高い断熱性と気密性が温度差を少なくし、快適な居住環境を提供します。
冷暖房による健康リスクや結露によるカビやダニの発生などを抑制し、家族の健康を守ります。
住宅が長持ちする
高い断熱性と気密性により結露の発生を抑制し、家の劣化を防止します。
とくに壁内結露は、家の躯体や柱の腐食を引き起こす恐れがあるため、事前の対策が重要です。省エネ住宅では、高品質な断熱材や施工技術により、結露を最小限に抑え家を長持ちさせられます。
省エネ住宅で利用できる補助金制度を紹介
省エネ住宅の新築やリフォームに関連する補助金や減税制度は、費用負担を軽減し、省エネ性能の向上を促進するために重要な支援です。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、長期優良住宅やZEH住宅、認定低炭素住宅などの新築や改修に対する補助金制度です。
省エネ性能の高い住宅や地域の木材を使用した住宅に対して提供されます。補助金の額は住宅の種類によって異なり、ZEH住宅型の新築や購入では最大140万円、断熱改修では最大50万円の補助が受けられます。
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業は、ZEH住宅やほかの省エネ住宅の新築や改修に対する補助金制度です。
条件を満たしたZEHやゼッチプラス住宅に対して最大105万円の補助金が支給されます。ただし、特定の登録業者による設計や建築、販売、改修が必要です。
認定住宅新築等特別税額控除
認定住宅新築等特別税額控除は、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を新築した場合に適用される減税制度です。
一定の条件を満たすと、かかった費用の一部を所得税から控除できます。住宅ローン控除との併用も可能で、所得税額から10%の控除が受けられます。
まとめ
省エネ住宅は、光熱費の節約や快適な居住環境の提供、環境保全への貢献など、多くのメリットがあります。高い断熱性や気密性を備え、省エネ性能の高い設備の導入により、光熱費を削減し健康的で快適な生活を実現します。さらに、省エネ住宅には地域型住宅グリーン化事業やZEH化等支援事業などの補助金制度が存在します。これら制度の活用により費用負担の軽減が可能です。省エネ住宅は、持続可能な未来を築くうえで重要な役割を果たします。