「ローコスト住宅」という住宅形態の名前を耳にしたことはありませんか。ローコスト住宅は、文字通り一般的な住宅よりも安く購入できる住宅を指します。ローコスト住宅は安く手に入りますが、デメリットの存在の把握も必要です。本記事では、ローコスト住宅に焦点をあて、徹底解説します。
ローコスト住宅はなぜ安いのか
ローコスト住宅がほかの住宅と比べて安く建築できるのには、いくつかの仕組みがあります。
ここでは、ローコスト住宅の安さ実現への仕組みと工夫、購入を検討する際の注意点を説明します。
材料費の削減
大量の材料や設備を仕入れる仕組みによって、コストカットが可能です。
また、間取りを規格化し、特定の資材の使用に制限をかけ、費用を最小限に抑えられます。木材は事前にプレカット工場に発注し、部品化して一括発注する方法で原価を低減させる例も見られます。
人件費の削減
規格の決まった材料をあらかじめ工場でプレカットし、現場での組み立ての省力化により人件費を削減できます。
また、販売に関しては自社で販売網をもたず、不動産会社に販売を委託し、販売にかかる人件費を削減する会社もあります。広告費の削減も重要です。大々的な広告をせず、テレビCMにあてる費用を最小限に抑える対応により広告費用を削減します。
その代わり、地域に焦点を絞った宣伝やオンライン広告の利用などコストの低い手法を活用し、効果的な販売へとつなげています。
設備・仕様・建具のコスト削減
設備・仕様・建具のコスト削減も大きなポイントです。
部屋数を減らす設計でドアの数を減らしたり、照明やコンセントの数を減らすなど、細かいコストカットをします。ローコスト住宅を取り扱う会社は、安く家を建築するためのノウハウを豊富にもっています。
コスト削減の工夫と選択時の注意点
ローコスト住宅には建築コストをさらに抑えるための工夫もあります。
たとえば、2階建ては平屋よりも建築コストが割安です。総2階建ての場合、狭い土地面積で済むうえ、屋根の面積も狭いため費用を抑えられます。ただし、外観におうとつがある場合は、外壁費用がかさんでしまうため注意が必要です。
ローコスト住宅を選ぶ際には、安さだけでなく品質や耐久性も考慮しましょう。安さを追求するあまり、耐久性や品質に問題が生じる場合があります。また、ローコスト住宅を選ぶ際には、各社の保証内容や信頼性の確認も重要です。
ローコスト住宅のメリット・デメリット
ローコスト住宅の魅力と課題について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット
ローコスト住宅の最大のメリットは、その名のとおり建築費用が抑えられる点です。
戸建て住宅を望むけれども資金に限りがある場合や、転勤の可能性がある場合に適しています。また、規格住宅であり建築期間も短縮されるため、時間に制約のある方にも好都合です。
デメリット
一方で、ローコスト住宅にはいくつかのデメリットも存在します。
まず、自分たちの好みやライフスタイルに合わせたカスタマイズが難しい点です。規格化されたプランのなかから選ばなければならないため、自由度が制限されます。さらに、耐久性や耐震性、遮音性などの性能がほかの住宅に比べて劣る可能性があります。
これは、材料や設備の選定においてコスト削減が優先されるためです。ただし、建築基準法には則っているため、最低限の安全性は保たれます。
規格外の建具や設備を選択すると追加費用がかかる問題もあります。ローコスト住宅の価格の実現には、基本的な仕様での建築が前提としてあるためです。キッチンやバス、トイレなどの標準グレードが低く設定されているケースもあります。
理由は、高性能な設備やグレードの高い材料の使用が費用を増やしてしまうためです。最後に、大手メーカーと比較して保証面での差が挙げられます。
大手メーカーは長期間の保証を提供する一方で、ローコスト住宅の場合は短期間の保証が一般的です。また、業者が倒産するリスクも考慮する必要があります。
ローコスト住宅の建築はどこに依頼するべきか
ローコスト住宅を建てる際には、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の3つの選択肢があります。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは規模の大きさから安心感があり、モデルハウスの見学ができるため多くの人に人気があります。
ハウスメーカーは一定の品質の保証が期待され、ローコスト住宅でも高い信頼性があります。
工務店
工務店は地域密着型であり規模が小さいため、広告費や管理費を抑えられ、コストパフォーマンスがよいです。
1人の担当者が最初から最後まで対応する場合が多く、信頼関係が築きやすい利点もあります。
設計事務所
設計事務所は自由設計が可能であり、個性的なデザインの住宅を望む人に向いています。
ローコスト住宅でもこだわりのデザインを実現したい場合には、設計事務所が適切な選択肢です。自由度が高く、モダンかつスタイリッシュな住宅の建築ができます。
まとめ
ローコスト住宅の魅力は、手頃な価格で手に入る点です。材料や人件費を効率的に抑え、広告費や設備のコストの削減により、住宅の建築費用を最小限に抑えられます。一方で、自由度や耐久性には制約がありますが、適切な選択により信頼性の高い住宅の建築が可能です。ハウスメーカーや工務店、設計事務所など、さまざまな選択肢のなかで自身のニーズに合った建築パートナーの選定が重要です。