住まいの性能は、その家で快適に暮らすためには無視できません。快適に暮らすために必要な性能の代表格が、断熱・気密性能です。なぜこれらが重要で、どのようにすれば向上させられるのでしょうか。この記事では、断熱・機密性能とは何なのかに加え、向上させるポイントを詳しく解説しているので参考にしてください。
住宅における断熱・気密性能とは?
住宅の断熱・気密性能は、快適性や省エネ、住宅の寿命にも大きな影響を与えます。気密性能は、住宅の隙間を最小限にし、室内空気を外部から分断する性能です。断熱性能も同様に重要で、断熱材で家を包み込み、外の熱を中に伝えにくくなります。
これらの性能が高いほど、室内の温度や湿度が安定し、快適な生活が送れます。高断熱住宅は、断熱材で建物を包み込む工法を採用しており、同時に気密性能も向上します。気密性能が高ければ、暖冷房で快適に調整した室温を維持しやすくなり、省エネが実現可能です。これが、省エネ住宅として国が推奨する高断熱・高気密住宅のコンセプトです。
一方で、気密性能はC値として評価されます。C値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高い状態です。気密測定は、専用機器を用いて行われます。完成後ではなく、断熱施工・気密施工後の段階で行われることが一般的であり、建物の気密性能を事前に確認し、必要に応じて手を入れられるうちに改善を施しています。
断熱・気密性能の向上が、快適性だけでなく、エネルギーの効率化や建物の耐久性向上にも大きく貢献するため、これらの性能に着目して快適な住まいを築きましょう。
断熱・気密性能の必要性を理解する重要性
住宅において、気密性能はさまざまな面で重要な役割を果たすため、設計段階で考えておくことが重要です。そのメリットを認識し、住宅の設計段階で断熱・気密性能に対し、重点的に予算を投入しておくことをおすすめします。
光熱費削減
気密性能の高い住宅は、室内の空気を屋外と分離でき、断熱性能の効果を最大限に活かせる環境です。機密性能と断熱性能が高いことで、省エネルギーと快適性の向上をもたらします。室内は、外気の影響を受けにくいため、暖冷房を効率的に使用可能です。これが、結果的に光熱費の削減につながります。
空気の入れ替え
高い気密性能は、効率的な換気により、快適な室内環境を実現します。建物全体の換気をコントロールでき、室内の空気を清浄で健康的な状態に保ってくれるでしょう。
湿度の維持
気密性能の高い住宅は、外気の湿気を遮断し、室内の湿度を快適な範囲に保ちます。また、高い気密性能は、結露の発生を抑制し、建物の劣化を防いでくれるため、住宅の耐久性を高めてくれる重要なポイントです。
汚染を防ぐ
気密性能が高ければ、外部からの花粉やPM2.5など有害な物質の侵入が抑制されます。清潔で健康的な室内環境を維持できます。
室内の温度差減少
気密性能の高い住宅は、急激な温度差によるヒートショックのリスクを低減させ、安全で健康的な生活をサポートします。また、床や足元の冷えを軽減させ、暖房の効率向上と、快適な床暖房効果が実現可能です。
高い防音性
気密性能の向上は、防音効果も期待できます。室内外の音を遮断し、静かで快適な居住空間が実現します。
住まいの快適さを左右する断熱・気密性能のポイント
以上のように、住宅において、快適な生活を実現するためには、断熱・気密性能の向上が鍵となります。しかし、予定通りの性能を発揮するには、ポイントを押さえた設計が求められます。断熱・気密性能を実現するポイントを紹介します。
窓とドア
適切な窓とドアの選定が、断熱・気密性能向上の基本です。二重窓や樹脂サッシなどの断熱性能が高い設備は、外気の侵入を抑制し、室内の環境を維持してくれます。また、ドアの隙間も気密性に影響するため、慎重な選定が必要です。
断熱材
断熱材は、外部からの熱の侵入や、室内からの熱の逃げを抑える役割を果たします。場所ごとに適切な、高い性能をもつ断熱材を選ぶことで、冷暖房の効率を向上させ、エネルギー消費を削減できます。
換気設備
気密性能向上にともない、忘れてはならないのが換気設備です。室内に新鮮な空気を供給し、湿気や有害物質を効率的に排出してくれる換気システムを導入することで、健康的な住環境を維持できます。
高い技術力
気密性能や断熱性能は、施工の質に大きく左右されます。窓やドアの取り付け、断熱材の施工など、ていねいで確かな技術力が必要です。信頼性のある施工業者を選ぶことで、気密性能の低下を最小限に抑えられます。
また、気密性能を数値で示すC値は、建築基準法で規定されています。本格的に住宅施工を依頼する前に、施工会社のC値の基準設定を確認しておきましょう。低いC値を実現できる、技術力の高い住宅メーカーや工務店に依頼することで、高い気密性能をもつ住宅を実現できます。
劣化を想定した補修
気密性能は時間とともに劣化するものです。中で暮らす人による、窓やドアの開閉、エアコン設置などの工事により劣化し、隙間が生じてきます。定期的なメンテナンスや設備変更がある場合は、信頼できる業者に依頼し、気密性能の確認・補修が重要です。
まとめ
注文住宅の建設を考える際、断熱・気密性能は忘れてはならない重要なポイントです。高い性能が実現すると、快適な室内環境を維持でき、光熱費の削減、健康的な生活も実現できます。よって、設計段階から、断熱・気密性能の向上を意識して検討しておくのが賢明です。住まいの心地よさを最大限に引き出すため、断熱性能・機密性能は見逃せない重要ポイントといえるでしょう。